New Model『CX』

photo: Holy
2025-2026シーズン、新たに誕生した『CX』。
ライダーの平間和徳が監修し、カービングから派生してあらゆるフィールド、スタイルに対応すべく、【Curving Cross(X)over】をコンセプトに開発がすすめられました。
コンセプトの幅の広さとは裏腹に、使う人を選びそうな特徴的なハイバックが一番の特徴となるこのモデルを直接本人にインタビューし、開発背景や、前作CVとの違い、向いているスタイルなどを聞いてみました。
ー INDEX ー
使ってないことに気づくんですよ。 あの場所を。
ー CXでまず一番に目がいくのがハイバックの形状だと思いますが、ウイングは分かるとしても内側は大胆に削れてますね。この意図は?
そもそも「もっと可動させたい」という思いがあって、これまでもセッティングで何とか引き出そうとしていました。
スノーボードの動作の中では、外へ倒す動きよりも内側に足を畳む動きの方が難しいんです。外には倒れられるけど、内側はどうしてもハイバックやストラップが邪魔になって、スケートボードのようには動けなかった。
photo: Holy
それで「足が固定されている状態でもどうすればもっと動かせるだろう」と考えて、セッティングで調整してきたんですが、やりたい動きがどんどん大きくなって、どうしてもハイバックに当たってしまう。
ローテーションを限界まで広げても当たる。
「だったらもう切っちゃえ」
と思って、内側の角だけ削って試したら「お、邪魔じゃない、動ける!」と。
さらに思い切って削ってみたら「うわ、すげー!」って。
そういう経験を踏まえて、実際にどれくらい当たるのか精査した結果「ないほうがいい」と。
しかも自分の動きの中では、内側ってほとんど使ってなかったんです。
ー あれを見て「本当にカービングに対応できるの?」って思う人もいると思います。
むしろそう思っている人にこそ乗ってほしいですね。
たぶん、ちょっと言い方があれかもしれないですけど、使ってないことに気づくんですよ。 あの場所を。
カービングするにあたって「使ってなかったんだ」と分かる。
仮に使っていたとしても「なくてもできるんだ」って思える。
photo: Holy
この動きに必要性を感じている人は、絶対に共感してくれるはずです。
実際にめちゃくちゃ動けるようになるから、一度試乗でもいいので体験してほしい。
本当に可動域が広がるし、取れる姿勢も全然違う。
かといってレスポンスを失っているわけではない。
むしろXFより硬いくらいです。
ハイレスポンスと超可動の両立が実現できています。
CVはとにかく反応重視。
「ドラグを絶対させない」というコンセプトで、可動域を保つためにローテーション幅を広げて、ヒールカップも上げてホールド感を強くし、反応を高めつつ最低限の可動を確保していました。
ハイバックの硬さ自体はCVよりも出したかったというのもあるんですよね。
テストの中で生まれたボックス構造を採用したことで、想像以上に反応が良く、強度も出た。
結果として、ハイバックの硬さはCV以上、CXはXVに次ぐくらいの硬さになりました。
今の自分のカービングスタイルにおいては、これが一番いい感覚。
ハイレスポンスと超可動の両立が実現できています。
photo: Holy
ーセッティングで稼働域やレスポンスを変えられるハイバックと聞きました。
「内側がないと不安」という人もいると思います。
でも、CVと同じローテーション幅があるので、内側に戻すこともできる。
外側にはウイングがあるから、従来通りの位置にハイバックが存在しているし、内側も作り出せる。
CVは外に振っていったけど、CXは外に振ってもいいし、内側に振ると普通のハイバックの感覚になる。
なぜなら内側にもすごいローテーションできる。 真ん中が一番強くなってます。マジで強いんで。
フリーライドにも対応できるうえで 稼働量をしっかり保ったベースがSRだった。
そう。やっぱりベースは稼働の土台になる部分だから。XFやXVのようにスタビライザーがガチッとはまって少しもロールしない構造だと、結局ハイバックやローテーションに頼りすぎて偏ってしまう。
ロールの出方とか足の出方が偏る。
ベースが1度や2度でも動くことで、その先の可動が大きく変わる。
だから 絶対内側のスタビライザーはSRみたいに柔らかくしたいっていうのがあって。
CVのベースを選ぶと稼働は制限される。
">サイドウォールが圧倒的に足のロール量を止めるんですよね。
その代わりレスポンスや安定感は高いけど、自分が求めているのは「超可動」。他メーカーでも工夫しているけど、どうしてもレスポンスを失うリスクがある。その点、フラックスには両立できるSRベースがあったんです。
僕の中では誤算になってるんですけど、いい意味で。
ー新しいCLOUD STRAPはどうですか。レスポンスだけ考えると従来のワッフルストラップという選択肢もあったかと思うのですが。
僕の中では誤算になってるんですけど、いい意味で。
めっちゃ動けるようになった分、従来のワッフルだと硬さで当たって痛い部分が出てしまう。
でもCLOUD STRAPなら全然痛くない。
さらにベルト根元を薄くしたり、細かな改良を重ねることで、内側への可動性や履き心地が格段に良くなった。超可動しつつレスポンスも求める人に最適なストラップです。
photo: Holy
ークラウドストラップに変えても、フロントサイドのレスポンスは落ちてない?
落ちてないです。
全体バランスを考えていて、トーストラップをあえて従来のものにしているはそういうことで、レスポンスを失いたくないからこっちを使ってるっていう。
今考えられるベストの選択肢ですね。
全然乗れます。
証拠に、僕の場合は前足36度がデフォだったのが、27度に戻りました。
そこまで振らなくても横にすればもっと動けるし、板が太くなったこともありますが、前振りなしでも十分動ける。これが最大のメリットです。さらに外に開けばパウダーでも楽。
なにかをあきらめて一つの事をだけに長けた物ではなく、全てがやりやすいバインディングを作りたかったんです。
カービングをしつつ、地形を使った滑りや板さばき、いろんな姿勢をとりたい人ですね。
レイバックのように体を大きく倒す動きでも、足が当たりにくい。カービング中も低い姿勢を取りやすい。少ない力で自然に膝が内側に入って、スムーズに滑れるモデルです。
あとはカービング一辺倒の人だけでなく、地形に合わせて自由に滑りたい人。
僕自身はカービングの延長でグラトリもするから、そのときに稼働量がめちゃくちゃ必要なんです。
バンクドみたいに斜度が急なところとフラットが混在する場面でも「ここは動きたい、ここはレスポンスが欲しい」という両立が必要になる。
なにかをあきらめて一つの事をだけに長けた物ではなく、状況にあわせて全てができる、全てがやりやすいバインディングを作りたかったんです。
それが今までの解決方法だとできなかったから、こうした思い切った形をとっていったって感じです。
なので自分みたいな、欲張りな方に是非使ってもらいたいですね。
photo: Holy